わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 ベッド横の棚の上にある目覚まし時計に何気なく視線をやる。
 午後6時を回っていた。

 そろそろかな。
 いつもこのぐらいの時間には決まって、一日分の授業のノートのコピーがポストに入れられている。

 重い身体を引きずるようにして階段を下り、玄関の扉をそっと開けた。


「あっ」

 思わず小さな声が口から漏れた。

 門を少し入った場所に立っているポストの中に、身を屈めて何かを入れている男子が顔を上げてこちらを見た。

「山田……」

 ポツリとその男子の名を口にすれば、「久しぶり」と、困ったような照れたような複雑な笑みを浮かべた。


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