わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「山田だったんだ、ありがと」

 どうして家を知っているのか、とか。
 どうして山田が、とか。
 もうそういうのはどうでも良くて。

 ただ言うべきことだけは言っておこう、そんな風に思った。


 「おう」とだけ答え、ポストに半分差し込んだコピー用紙を引き抜くと、山田は直接私に手渡した。
 それを受け取って、「じゃあね」と背を向けた。


「秋山」

 弱々しいがはっきりと意思を持った声で呼ばれた。
 思わず立ち止まって振り返れば、山田は眉根を寄せて、とても辛そうな顔をしている。

 私が黙ったままでいると、山田は意を決したように、けれども酷く言い辛そうに続けた。

「学校来いよな。
 皆心配してる」

 余計なお世話だ、と思った。
 私の気持ちなんかわからないくせに、と。


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