わたしとあなたのありのまま ‥2‥
知っていた。
わかっていた。
あの、最後のデートで、田所がどんなに私のことを想ってくれているか、嫌というほど気付かされた。
だからって、そんなの何の慰めにもならないよ。
私は田所に別れようって言われたんだ。
それは私にとっては死刑宣告よりも残酷で。
「お前なんか嫌いだ、もう二度と顔も見たくない」って言われた方がよっぽど良かったよ。
きっと死にたいほど傷つくけれど、こんなにも苦しまずにすんだ。
潔く諦められたのに。
「そんな話、聞きたくない」
声を絞り出すようにして低く吐き捨て、踵を返して勢いよく家に飛び込んだ。
山田のバカ。
田所もバカだ。
みんなみんな、大嫌いだ。