わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「だから、別れたい理由を教えてよ。
 あんな風に、キスされて、泣きながら『愛してる』とか言われて。
 それで苦しいから別れようなんて、納得いかないし。
 ちゃんとした理由を言って?
 私は大丈夫だから。
 覚悟はできてるから」

 言いながらも、『何の覚悟だよ?』と心の中で自分自身に突っ込んだ。


 少しの間、田所は呆然として私を見詰めていた。
 やがて、

「ごめん」

 と。
 弱々しい声をポトリと落とし、今にも泣き出しそうな顔をする。

「謝らなくていいよ。
 責めてるんじゃないから。
 私はただ……」

 夢中で言葉を紡ぎ出していると、田所の右腕がそっと伸びて来て。
 その大きな手の軽く曲げられた指の山が、私の左頬に触れそうになる。
 慌てて両頬を両手で覆い隠すと、手の平に湿った感触。


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