わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「ほのかと居ると、俺、駄目になる。
 そのうちきっと……多分、俺は、ほのかも駄目にする。
 ほのかに甘えないでいられるほど、今の俺、強くないから」

 言いながら、空いている左手で私の右手首を優しく包んでそっとはがす。
 右手もクルリと翻して、私の左手首をふんわり捕らえた。

 まるで魔法にかかったみたいに、私はされるがままで。
 恐る恐る視線を上げて田所を見れば、泣きそうな、それでもとても温かな笑顔がそこにあって。

 私は堪えきれなくなって、とうとう嗚咽を漏らした。


「ほのか、俺……
 弱虫のヘタレでごめん。
 嫌いになれなくて、ごめん。
 好きになって――


 ごめん」



 私を好きになってくれたことまで謝られてしまった。



< 222 / 363 >

この作品をシェア

pagetop