わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 電車通学の綾子とは、いつも古本屋の角でお別れ。

 綾子が見せる満面の笑みが、鏡に映し出した私の姿のように思えた。
 きっと私も、今、心から笑えている。

 いつも通りの挨拶を交わして、お互いほぼ同時に別方向へと身体を翻し、それぞれの向かう先に足を進める。



 はぁ。

 思いのほか大きなため息が口から漏れた。


 なんだかとてもスッキリとした気持ちだ。

 ずっと雨が降りそうで降らない曇天というか……ぐずぐずした天気が続いていたけれど、突然にスカッと晴れ渡ったみたいな爽快感。


 案外私、打たれ強いのかもしれない。
 さすがは何の取り柄もない平凡女子。


 ふふっ……

 自嘲気味な笑みが思わずこぼれた。


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