わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 せなくんも居たのか、と。
 この時ようやく知った。

 だってせなくんは、三年生の怖そうな先輩たちと完全に同化していたから。
 不思議だ。


「てめ、大嘘ブッこいてんじゃねぇわ」

 田所が、噛みつかんばかりの勢いでせなくんを怒鳴り付けた。

 と、見兼ねたのか、照哉くんが遠慮がちに口を開いた。

「俺もその場に居たけど……」

 けれども田所の鋭い視線が今度は照哉くんを射抜き、照哉くんは渋々その口をつぐむ。


 せなくんの証言は『大嘘』にしては、妙にリアルだった。
 だって、『あのブタ』って。
 私のことをブタ呼ばわりするヤツなんて、田所ぐらいだから。


「ねぇ、どっち?
 言ったの? 言ってないの?」

 段々と。
 なんだかとてつもなく腹が立ってきて。

 田所に歩み寄ると、睨みつけるようにして見上げ、その正否を問い詰めた。


< 238 / 363 >

この作品をシェア

pagetop