わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 ああ……
 私ったら、何て幸せ者なのでしょう。

 困ったな、目の奥が熱くなってきた。


「泣くなよ?」

 田所の不機嫌顔が、今度は困り顔に。

「うん」

 と頷いて一生懸命笑ってみたのだけれど。
 私の意に反して、涙くんが両目から溢れ出て来る。
 『俺の出番』とばかりに、それはもう張り切って。


「だから泣くなっつってんのに」

 呆れたように言い、田所は私の頭を両手でそっと挟んだ。

「てめ、『泣けばキスして貰える』とか思うなよ」

 言いながらも、田所の顔がゆっくりと近付いて来て。
 長い睫毛を揺らして、田所が瞼を落とすのを見て、私もつられて目を閉じた。


 そっと触れるだけのキス。


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