わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 けれど、自分がヤキモチを焼いているなどと認めたくなくて。

 『ヘアピンぐらい、私だって持っているのに』とか。
 『自分で付ければいいのに、何甘えてんの?』とか。

 本来の苛立ちの原因から、必死で意識を反らそうとしている私。
 でもすぐに失敗に終わる私。
 何やってんだ? わたし……


「悠斗!」

 そんな私に気付いたのか、照哉くんが焦燥しきった声で、田所の名を呼んだ。

 田所は涼しい顔でこちらに視線を寄越し、「あ?」と間の抜けた返事をする。
 けれどすぐに、気まずそうな、照れたような苦笑を浮かべた。


「ほのかちゃんが現国の教科書忘れたから貸してって」

 照哉くんは、勢い任せにとんでもないでたらめを口走る。


「ちょっ、照哉くん?」

 驚いて照哉くんを見れば、『ここは俺に任せろ』とでも言いたげな自信満々の笑顔を返してくる。

 一体……
 何がしたいのだ、この人は?


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