わたしとあなたのありのまま ‥2‥
グラリと体勢を崩して舌打ちしたせなくんは、それでも田所の肩に自分の腕も回し、
「バーカ。『あれ』じゃわかんねぇわ。
てか、お前が何歌おうが、どうでもいい。
その情報、全然いらね」
言って、その横顔に意地悪な笑みを浮かべた。
「いるだろ?
俺とせなの曲がかぶったら大惨事だろ?」
「意味わかんねぇ」
そして、どうでもいいやり取りはいつまでも続く。
当の本人たちはすこぶる楽しそうだから、誰も止めには入らない。
「なんなの? あの二人。
ラブラブじゃん」
ガッツリと肩を組み合って歩く二人の後姿を眺めながら、綾子が呆れたようにこぼした。