わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 私も、呆気に取られて見ていた。
 まるで、今日のあの険悪ムードが夢だったかのようだ。


「あいつら、いっつもあんな感じ。
 ちょっとぐらい言い合いしても、数秒後にはもうじゃれ合ってる
 生粋のバカ同士だからね」

 照哉くんは、言いながら穏やかに微笑んだ。

「へぇ」

 感心したように相槌を打つ綾子に、隣に居た私は思わず吹き出してしまった。


 すかさず綾子が「ちょっとほのか、何笑ってんの?」と文句を言うので、

「照哉くん。
 田所は確かにバカばっかりやってるけど、バカそのものではないからね」

 話を逸らして誤魔化した。

「ああ、ごめん。
 失言でした、すみません」

 照哉くんは顔をクシャッとさせて笑いながら、丁寧に謝ってくれた。


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