わたしとあなたのありのまま ‥2‥
田所は何も言ってくれなかった。
黙ったまま、ただ、私を切なげに見詰め返すだけ。
それでも充分だった。
田所の気持ちを――苦しみを知るには充分過ぎるほど、その漆黒の瞳が全てを語っていた。
辛くて居た堪れなくて、勢い良く立ち上がり全力で駆け出した。
田所を責めてはいけない、そう思った。
全
部、私が悪いんだ。
身勝手で自己中で、どうしようもない私のせいだ。
もう田所のことは諦めよう。
きっとそれが、私たち二人にとって最善の道だ。
田所が正しかったのだ。
悔しいけれど。
秋の夜風が残酷なほど冷たくて、冬の訪れを濡れた頬に感じた。