わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 ここへ来るといつも、ゆきさんの存在が私の中のどこかに、ドッシリと重く圧し掛かる。
 特に、今日みたいに田所に冷たくされた時は、『私とゆきさん、タイプが全然違う、むしろ真逆だ』なんて思ったり。

 知り合ってまだ間もない頃、
 田所は――

 ゆきさんのことが好きだった。


 徐々に二階の通路が見えて来ると、ゆきさんの部屋の前に誰か居ることに気付いた。
 ドアに背を向け、鉄柵に寄り掛かるようにして立っている。

 黄色いネクタイに紺色ブレザーは南高の制服だ。
 明るい茶髪にピアス。
 背はさほど高くはなく、けれどもスラリと伸びて整った体系。


 視点の定まらない、ぼんやりとした横顔が、夕日に照らされ淡いオレンジ色に染まっている。

 キレイ――
 単純にそう思った。


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