わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「綾子、後でね~」

 走り出す私に、

「ちょっ、ほのか!
 どこで落ち合うとかまだ決めてないじゃん!」

 背後で綾子が叫んだけれど、聞こえません。

 私たちは、『携帯電話』という便利なものを持っているはず。
 それで通信すれば良いだけのこと。


 が、

「待て、ほのか」

 再び後ろ襟を掴まれ、引き留められる。
 今度は勢いがついていたため、首が締まって苦しい。

 どうしてこうも私の目的達成の邪魔ばかりするのだ、田所は。


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