わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「駄目だよ、田所」

 背後から田所の腕を掴んで引けば、その腕を回して振り解かれた。
 田所は私を見ようともしない。


「回りくどいことは止めろ。
 ほのかに伝言頼んだり……
 関係ないヤツ巻き込むな」

「関係なくないだろ?
 その子、お前の彼女だろ?」

 ゆきさんの彼はそう言って、チラリと私に視線を寄越した。


「お前がゆきを殺した。
 それなのに、のうのうと彼女とヤリまくってるとか、
 ムカつくんだよ」

 彼の整った顔が、みるみる歪んでいく。

 『ヤリまくってる』と言われ、恥ずかしくて、
 彼の表情も、見ていられないほどに痛々しくて、
 思わず、目を逸らして俯いた。


< 63 / 363 >

この作品をシェア

pagetop