わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「そして、彼女ができた途端、お前はゆきを拒んだ」

 ゆきさんの彼が、田所の代わりに言葉を繋ぐ。

「違う。俺は――
 そんなんじゃなくて……
 ゆきさんが『寂しい』って、泣いてて。
 慰めようとしたら、『抱いて』って言われた。
 俺、好きだったから、ゆきさんのこと。
 けど、抱いてる間も、『冬以(トウイ)』ってヤツの名前、何度も何度も呼んでて。
 そん時は、
 何だよ、やっぱ彼氏のこと好きなんじゃねぇかよ。
 この人、一体どういうつもりだよ? 
 って腹立ったけど、
 後で、ゆきさんの心は壊れてるんだって気付いた。
 その『冬以』ってヤツのこと、愛し過ぎて、壊れたんだ。

 『冬以』って……
 お前だろ?」

 言い切った田所の顔も、苦痛に歪んで。
 逃げるように冬以に視線を移せば、その両目からポロポロと、涙が頬を伝って彼の足元に落ちた。


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