わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「やめろ、ほのか。
 彼を責めるな」

 田所が私の腕を掴んで後方に引くので、数歩後ずさってしまった。
 更に田所は、一歩踏み出して私の前に出た。


「やっぱ、俺が悪いわ。
 いくら好きだからって、彼氏がいる女(ヒト)を抱くべきじゃなかった。
 今更、償うなんてことは到底無理だけど、俺に出来る事があれば何でもする」

「だったら……」

 言いながら冬以は、田所と擦れ違うようにして移動し、私のすぐ横に立った。
 そして、その左腕が私の腰に巻き付いて……
 そのままグイと抱き寄せられた。

「この子、俺にちょうだい?」


 冬以の口から出た突拍子もない言葉に驚いて見上げれば、彼の表情は至って真剣で。

 訳がわからない。
 意味がわからない。

 仕返しの為に、好きでもない私を欲しがるとか……


 思わず、
 両手で思い切り冬以を突き飛ばした。




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