わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 背中が田所に密着して、その感触に少しだけホッとした。

 田所は更に、左腕は私のお腹に巻き付ける。


「悪いけど……
 そんなやつに、ほのかはやれない」

 田所は、静かに、穏やかにそう言って、私を抱いている両腕にキュッと力を込めた。


 冬以は仮面のような無表情のまま目を細めて、

「あっ……そっ」

 どうでも良さそうに言うと、私たちの横すれすれを通り抜けて行った。
 すぐに、階段を軽やかに下りる足音が耳に届いた。

 途端、全身の力が抜け、地に吸い込まれるかのように身体が崩れ落ちる。
 田所が抱きとめてくれた。


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