わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 田所は、背後から私の全体重を支えながら、

「ごめん、ほのか……ごめん」

 苦しげに、掠れた声で言う。


「謝らないで。
 田所は悪くない」

 すぐにそう返したけれど、心のどこかに迷いがあった。

 田所がゆきさんを抱いていなかったら、もしかしたら……
 考えたくないけれど、考えてしまう。


 弱々しい声しか出ない自分が、どうしようもなく憎らしかった。


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