トランキライザー

「・・・またか」

 家の前に着くと、またつぐみが座り込んでいた。

「おい、・・・おいっ」

 一度の呼びかけじゃ反応がなく、大きめの声を掛けながら肩を揺らした。

「え、あ、・・・圭斗。おかえりなさい」

「今日は何?」

「あ、服を取りに」

「鍵まだ持ってるんだろう?」

「・・・うん」

「なんで開けて入らないの?」

「・・・なんとなくダメな気がしたから」

 つぐみは小さな声で言った。寝起きだからだろうか。目が少し腫れている。
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