トランキライザー

「そう」

「どこかに行ってたの?」

「なんで?」

 唐突な質問に少し警戒した。

「タバコと甘い香水の匂いがするから。この前の人とどこかに行ってたの?」

 少し眉を寄せて、つぐみは言った。

「いや、敦志と居酒屋に行ってた。匂いはその時の周りの人からじゃないか?」

 なんでだろう。なんとなくうしろめたくて、嘘をついた。あからさまにほっとするつぐみを見て、俺もほっとした。

「・・・服、取ってこいよ」

 そう言って鍵を開けるとつぐみは首を振った。

「なんでもいいから取ってきて」

「なんで?」
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