トランキライザー
自分で選んだ方がいいだろうに。
「今、中に入っちゃったら、帰りたくなくなるだろうから。それに、圭斗に選んでもらった服着れるのが嬉しいから」
にっこりと笑ったつぐみ。彼女の発言に不覚にも俺は嬉しさを感じてしまった。
「とってくる」
つぐみの発言には何も答えず、部屋の中に入った。
口元が緩む。思わず口を抑えた。
「ダメだ。あんなの反則だろう」
本当に浮気以外、俺はつぐみに何も不満はないんだ。こんなにも俺を操るのがうまいのはつぐみだけだろう。
「あー、勘弁してくれよ」
突き放すと決めた心が簡単に揺さぶられていた。