トランキライザー
「・・・危ないと思って」
「はぁ?」
思いもよらない返答に、変な声が出た。
「向こうに行ったら逃げ場なくなりそうで・・・。襲われるかなと思って、こっちに」
開いた口が塞がらなかった。毎回思う。彼女は馬鹿なんだ。
「あのさ。こっちでも結局襲われてるじゃん」
「だって・・・あのね」
「あ?何?言い訳するの?」
「えっ、ううん。しない」
何度か前の浮気の時、「言い訳するなら別れる」と話したら、言い訳をしなくなった。