トランキライザー
「え?あぁ、うん。そうだね。ってそうじゃなくてさ、なんでここにつぐみが居るわけ?」
店長の控え室には、俺たちのロッカーが並べられただけの控え室とは違って、ソファーが二つテーブルを挟んで置いてある。応接室のようなものだ。そのソファーに対面して店長とつぐみが座っていた。
「圭斗」
眉を八の字にして、俺の名前を呼ぶ。
「あそこでずっと一人で待つのはつまんないだろうと思ってさ。こっちに入って貰ったんだよ」
「なんでそんな」
「何か駄目だったか?」
「身内なわけでもないんだから、そんなことしないでいいよ」
ちらっとつぐみを見ると、少し泣きそうな顔をしていた。