トランキライザー

「毎回浮気する度に聞くけどさ、俺に悪いと思わないわけ?」

「思う」

「じゃあ、なんでするんだよ」

「・・・ごめんなさい」

 話にならない。毎回これの繰り返し。もう飽きたよ。

「もうさ、別れる?」

 思わず出た言葉だった。つぐみの顔を見ると驚いた顔をしていた。

 でもきっと、つぐみに負けないくらい俺は驚いた顔をしていたはずだ。

「い、いやっ。そんなこと言わないで」

 座っていたつぐみは立ち上がって、俺の腕をつかむ。別れると言う言葉はここ最近言ってなかったからか、つぐみは動揺しているようだった。
< 47 / 186 >

この作品をシェア

pagetop