トランキライザー
「どうしたの?」
理沙ちゃんが顔を覗き込んできた。
「いや、何も」
答えたくなくて、短く返事をした。
「あー、どうせつぐみちゃんのこと考えてたんでしょ?」
にやにやしながら、トマトをスライスしていく理沙ちゃん。なんだってこの子は勘が鋭いんだろう。
「はっははは」
何も答えず笑ってごまかした。
「あぁ、私も彼氏欲しいなぁ」
スライスを終え、きゅうりを切り始めながら理沙ちゃんが呟いた。