トランキライザー
Betrayal.
「ごめっ、ごめんなさい」
「・・・はぁ」
ゆっくり長く息を吐いた。
「分かった。約束は守れよ」
言い過ぎてごめんと言いたかったが、それを言うと彼女を甘やかす気がして言えなかった。
「うん・・・、ごめんなさい」
「仕事始まるし店戻るわ。今は家?」
電話の向こうは静かだった。
「うん、家」
「早く寝ろよ。明日学校なんだから」
「分かった。あっ、あの」
彼女は何か言おうとして黙り込んだ。
「何?どうした?」
「・・・早く帰ってね」
「・・・あぁ」
電話を切り、少し夜空を見上げる。