トランキライザー

 中に入ると皆が準備のため、忙しなく動き回っていた。

「つぐみちゃん帰ってたか?」

 俺が入ってきたことに気付いた店長が声をかけてきた。

「帰ってたよ。ありがとう、店長」

「何にもしてないよ」

 そう言うと店長はレジの中身を確認していた。

 店長が居なかったら、彼女はそのまま男たちとどこかに消えていただろう。昨日の今日だから浮気しないなんてこと、彼女にはありえない。

 ヤりたい依存性だろうか。真剣に疑いそうだ。俺と出会う前もこんな風だったのか?

 駄目だ。完全に脳内が彼女に侵されている。
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