トランキライザー

「あ、圭斗。葵に連絡して少し早く来るように伝えてくれ」

 相変わらずパソコンと向き合いながら話しかけてきた。

「了解。予約客何時に来るんだ?」

「あと1時間ってとこかな」

「分かった。理沙ちゃん、電話してくるからちょっとよろしく」

 少し離れた場所に居る理沙ちゃんに声を掛け、再び外に出た。携帯を取り出し、葵に電話を掛けた。

「もしもし、圭斗?」

「おう、おはよう。葵、何時に出れる?」

 電話の向こうに居る葵の背後からは、少しざわついた様子が伺えた。
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