トランキライザー

「あー、仕事だるいな」

 小さく呟きながら、店に入った。

「店長、葵に伝えたよ。1時間以内には来ると思う」

「サンキュー、連絡するの忘れてたから助かった」

 店長とそんなことを話したあと、理沙ちゃんと一緒にグラスを磨いた。

 そして電話を切って30分もしない間に葵が出勤した。

「おはようございます」

 明らかに不機嫌そうに、棒読みで挨拶をしながら着替えて更衣室から出てきた。

「おはよう、悪いな葵」

「悪いと思ってるなら給料上げてくださいよ」
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