トランキライザー

「すみませーん、ビール2つ」

 客席から少しろれつの回っていない声が聞こえる。

「はい、分かりました」

「俺持っていくからここ頼む」

「はーい」

 冷えたグラスを取り出し、勢いよくビールを注ぎ込む。

 気がつくと、もう2時間以上が過ぎていた。
 
 2時間目安じゃなかったのかよ・・・。酒が入るといつもこうだ。このお客たちに限ったことじゃない。盛り上がっていると時間なんて忘れて飲んで騒ぐ。

「やっぱり2時間すぎちゃったね」

 時計を眺めていると、横に理沙ちゃんが来た。
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