はとぽっぽ
高橋さんはその後も泣きながら話し続けて、私はただ黙って聞いてることしかできなかった。
嵐は菜月さんと一緒に行こうと約束した高校の受験も止めて、今の学校に入学した。
あの日、私をナツキと呼んだのは、ひかれそうになった私と、菜月さんの事故が重なったから…
好きな人って…菜月さんのことだったんだ…
もう…嵐の中にずっといる菜月さんを…私が追い払うことはできない…
もう…嵐の中から菜月さんは消えない…
どうすることも…できないんだ…
私はその後の高橋さんの話を、ほとんど聞いていなかった。
頭の中が真っ白で…
ううん…きっとそれ以上聞くことができなかったのかもしれない…
嵐はまだ過去を生きてる…
そこに私は…いないから…