甘く、甘い、二人の時間


「…頼むから何か言ってくれよ。」



拓海は苦しそうな声でそう呟くと、俯く私の両肩を掴み顔を覗き込んできた。



「!!」




目が合ってしまった。

泣いてるところなんて、見られたくなかったのに。




「何で、泣いてんの?菫?」




きっと拓海は驚いてるよね。

泣いてるところなんて、見せた事無かったはずだから。



だって弱い部分は見せたくなかった。


どろどろした感情とか、会いたくて苦しくて辛くなる事とか。


拓海の重荷にはなりたくないから、いつだって笑顔で「頑張って」って言える彼女でいたかったから。







< 129 / 209 >

この作品をシェア

pagetop