甘く、甘い、二人の時間

「な…何で、笑うの?」



驚いた。


私は真剣に話をしてるのに、それなのに拓海は嬉しそうな顔をして。



「ごめん。だけど、駅で泣いてたのも、あいつと一緒にいたから?」


「……」


声は出さないけど渋々頷いた。



私の動作を見て、拓海はククッと笑いをかみ殺したような声を洩らす。



「何だよ。」

「!!何だよ?拓海ひど……――ん…」



さっきと同じ。

最後まで言わせて貰えなかった言葉は、拓海の唇に吸い込まれて。


激しくも優しい唇と舌に、怒りすら消されてしまう。



繰り返される甘いキスに思考回路が停止して、無我夢中で拓海の腕にしがみつく。



「菫…」

「可愛い。」

「愛してる。」


唇の離れた隙に何度も囁かれる甘い言葉は、私の心の黒い部分もどんどん溶かして。

素直になった身体は、どんどん熱を帯びていく。




< 135 / 209 >

この作品をシェア

pagetop