甘く、甘い、二人の時間

「もちろん。プロジェクトが成功して区切りがついたから一昨日メンバーで打ち上げしたんだ。だから昨日も定時であがれたし、今日と明日はきっちり休みだよ。」


「そっか、一昨日の電話で言ってたね。私一方的に切っちゃったから、ちゃんと覚えてなくてごめんね?」


「いいよ。電話切られた時は焦ったけど、もう気にしてない。今となっては、菫がやきもち妬いてくれた記念すべき日だったよ。」



拓海はそう言って幸せそうに微笑んでくれる。






「あのね、私、これからは素直になるね?会いたい時には"会いたい"って言うから。」



昨日の夜、決めた事。


我慢して、我慢しすぎて辛くなって、勝手に嫉妬して、涙を流して。

その結果、康介に泣き顔を見られて、更に拓海に心配かけて。



何もかも、素直にならなかった私が招いた結果だから。




拓海は絶対に失いたくない大事な存在だから、これからは素直に想いを伝える。



そう真剣に訴える私の頭を、拓海は大きな手で撫でてくれた。



「そうしてくれると、嬉しいよ。」



今まで見てきた中で一番の笑顔でそう言われ、胸がきゅんとときめいて、思わず赤面してしまう。






「菫…可愛い顔して、朝から誘ってる?」

「!ち、違うよ?!」



私の行動をちょっと勘違いしたらしい拓海に、首を横に振り慌てて否定するのに


拓海はといえば、意地悪な笑みを浮かべ


「「違うよ?」じゃあないだろ?さっき自分で言ったよな、素直になるんだろ?素直に返事をしてくれるかな?」



私の耳元でそう囁いた。




恥ずかしがる私を見て楽しんでる。

分かってるけど、拓海のこういう所、嫌いじゃない…。



…むしろ好き?














7 end



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