甘く、甘い、二人の時間
「しかし、本当に可愛い子だったなぁ――。」



間抜け面の同僚はとうとうデスクに頬杖をついて空想の世界に旅立ってしまった。




面倒臭いから無視して、パソコンに目を向ける。




「……はぁ、彼女に会いたいなぁ。俺、愛情不足で倒れそうだ……。」




……はぁぁ。

俺は隣がうるさくてキレそうだ。





なんだかんだと妨害にあいながらも、今日は10時前に上がる事が出来た。


「部長、お先に失礼します。」

「おう、お疲れ。頼りにしてるぞ、明日も頼むな。」



軽く肩を叩かれ何気ない一言をかけられる。


些細な事だが、たまらなく嬉しい。





仕事は忙しくも順調で、楽しかった。



決まった彼女はいなかったが、特に女に苦労もしてないし。



毎日かなり充実していたんだ。










菫に会うまでは。




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