甘く、甘い、二人の時間
彼女はスラッとした脚にピッタリなベージュのスキニーをパンパンと払いながら、
「…あ…」
と声をもらした。
「どうかしました?!」
ケガでもしたのかと焦って声をかけると、彼女は少しばつが悪そうな表情をする。
それから、困った様に俯いて気にしないで下さいと小さな声で呟く。
いやいや、気になるに決まってるから!
「何処か痛いなら、タクシー拾って病院に」
「!違っ――そうじゃなくて、汚れてしまって…」
「エ?」
「その、服が……」
恥ずかしそうにくちごもる彼女。
そうか、尻餅をついてしまったから!
「ちょっと、失礼。」
彼女の後ろに回り込み確認すると、スキニーのお尻の辺りが汚れてしまっていた。
そうか、微妙に雨が降っていたから、こんなに汚れたのか。
いくら夜で辺りが暗いとはいえ、街灯のある場所や駅とかじゃ……目立つよな。
俺のせいだし、激しく落ち込む彼女を見捨てる訳にはいかないし――。