甘く、甘い、二人の時間
「この映画、つまらなかった?」
「そんな事ないよ!好きだよこういうの。」
申し訳なさそうに拓海が聞くから、慌てて否定する。
確かに、こういうお話好きだし。
感動的だし。
いつもなら、号泣ものだけど。
今は無理。
物語よりも、自分の事で一杯で。
右隣にいる拓海の方が、私にとっては刺激的。
身体中の神経がどうしても右側に集中してしまう。
だけど、拓海はそんな私の事情なんて知らないし。
「何だか集中してないからさ、面白くないかと思った。」
なんて呟いている。