甘く、甘い、二人の時間
歩きながら菫に電話をする。
………1コール
………
………5コール
………
10コール鳴らしても菫は出ない。
「…はぁ。」
ため息と共に携帯を閉じる。
オフィスに戻り、缶コーヒーを開けながら考える。
会社を休んでいるはずなのに、電話に出ないのはよっぽど体調が悪いのか?
寝込んでいるのか?
メールを送るか?
でも、電話に出ないのに、メールを返信してくるとも思えない。
ああ、まずい。
気になって仕方ない。
やり場のない気持ちを抱えながら、おにぎりを口に入れていた。