甘く、甘い、二人の時間
「――菫?」
声をかけるも返事はなく。
靴を脱いで部屋にあがる。
「……菫。」
ベッドに寝ている菫は、真っ赤な顔で苦しそうな表情を浮かべていた。
そっと近づき、その額に手を当ててみる。
「……ん。」
触れられて驚いたのか、菫の目がうっすらと開く。
「――な…んで?」
どうして俺がいるのか不思議なんだろうけど、それどころじゃない。
菫の額から感じた体温が熱すぎて、焦ってしまう。
「熱は計った?薬は飲んだ?そうだ、何か飲む?」
まくし立てる様に質問を投げ掛けると、布団の中から菫の手が伸びてきて、俺の頬に触れた。
「――大丈夫だから、心配しないで?それより、どうして……」
普段とは全然違う弱々しい声に、胸が締め付けられる。