甘く、甘い、二人の時間
「どうしてって…昼休みに莉乃ちゃんに会って聞いた。それから何回か電話もメールもしたけど連絡が無いから、心配で見に来た。」
「……あ…ごめん。携帯バッグの中で、ずっと見てない。」
俺の言葉を聞いて、申し訳なさそうな顔をする。
「気にしないでいい。こんなに熱があるんだ、携帯なんて見れるはずない。」
菫の熱い手に自分の手を重ねる。
すると、菫は嬉そうに微笑んだ。
「何かたべれる?お粥でも作ろうか?
とりあえず何か口に入れれば薬が」
「拓海、気持ちだけで充分だから帰って?…風邪、移したくないの。」
俺の言葉を遮る様に、強い口調でそう言う菫。
でも、言葉とは裏腹に悲しそうな淋しそうな表情。
その顔から本心が伝わってる事、本人は分かってないだろうな。
でも、それが菫の可愛いところだから。
絶対に教えてやらないけど。