甘く、甘い、二人の時間
「平気。普段から体調管理はばっちりだから。絶対に移らない。」
「……だけど――」
「試しに、キスしてみる?――何ならその続きだって出来るよ?菫だって、身体動かせば汗が出て熱も下がるかもしれないし。」
唇の端を軽く持ち上げて、笑いながら囁く。
菫はこういうのに弱いから、いつもたじたじになる。
それがまた可愛くて。
ついつい意地悪したくなるんだ。
だけど、今日の菫は違った。
熱に浮かされながらも、真剣な眼差しで俺に訴えてきた。
「――本当に駄目。……拓海、大事な出張が…あるでしょ?私のせいで……台無しにしたくない…から。」
そうか。
プロジェクトの事も出張の事も菫に話した。
だから、俺には連絡してこなかったのか?
「――菫。」
「……何?」
なんだか、複雑な気持ちだ。