誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
王子様に言われたとおり、ソファに座る。
落ち着いている王子様のお部屋に、ただポツンとソファでマグカップを両手でもつ私。
なんか…
ソワソワして落ち着かないな……
ココアをチビチビ飲む。
このココア…王子様が淹れて…
――…くれたんだよね。
私のことを少しでも考えてくれて…淹れてくれたんだよね。
「優し……」
やっぱり、王子様は優しい。
――「眠くなっちゃった……」
ココアで落ち着いたからか、重くなる瞼。
こんなとこで、と思ってても睡魔には勝てず。
「ん……」
まだココアが入ったマグカップを両手に持ったまま、私は寝てしまった。