誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
――…「ん……っ」
深い睡眠から、意識が目覚める。
今、何時…?
いつものように布団から手を出して携帯を探す。
「ん~?」
手を伸ばしても…ない。
ベッドの横にあるドレッサーも、ない。
何で?
と、疑問に思って閉じていた瞼を上げて、ガバッと起きた。
「っ!?ど、どこっ…」
ここは、どこ…!?
見るとそこは知らない寝室。
私の部屋にはセミダブルベッドも立派なクローゼットも紺のカーテンも、海の風景が載ってるカレンダーだってない。
わ、私の部屋は敷き布団だしっ、
クローゼットじゃなくてタンスだしっ
カーテンは花柄のピンクだし、カレンダーとかないよっ!?