誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
「…秀人くん。」
『なぁに…?』
「お姉ちゃんは、どこにも行かないよ。」
秀人くんのこの気持ちを、少しでも軽くしてあげられるのは私だけなのかもしれない。
こんなにも思ってくれてる秀人くんを、
少しでも安心してあげられるのは――…、きっと、私だけ。
『ほんとに…?』
「うん。お姉ちゃん、前に言ったでしょ?秀人くんのことが好きって。」
『うん!』
「その気持ちは変わらないよ。」
私の秀人くんへの”好き”って気持ちは、秀人くんが思ってる“好き”じゃない。
だけど、それでも言葉にすることで、秀人くんが笑顔でいてくれるなら――…、
『っ…おねえちゃぁんーーっ!』
「わっ…秀人くんっ…!?」
わんわん泣く秀人くんに、私はそっと頭を撫でた。
神様、
どうか秀人くんがこれからも幸せに生きていけるように、
ずっと、見守っててくださいね…?