誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
『何だよ、それ…。』
「私が悪かったんです、全て…。ごめんなさい。私が…新様の前に現れたから…!」
そう。
全ては私のせいだ。
新様は悪くない。
もう…新様の前にはいられない。
「新様には大切な方がいらっしゃって…、それを知らなかったとはいえ、そんな新様に近付いたのは私なんです。でも、もう一切新様の前には現れませんから。本当に…ごめなさ――…っ!?」
な、にを…――
目の前には、新様の整った顔。
抱きしめられた身体。
重なった――唇。
『大切な人…?それは誰のこと?』
「な、に……」
『悪いのは私?…愛実、ふざけたことばっかり言ってると、もう俺でも怒るよ?』
「っ…!?」
目の前にいるのは誰?
眉間に皺を寄せて、険しい目つきの新様は、普段の新様の真逆のオーラを身にまとっていて、
『来い。』
「えっ――」
何が起こっているのか分からない私はただ、さっきよりも強い力で新様に引っ張られた。