誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―


『俺、結婚なんてしてないよ?』

「――は…?」

『女の子に妊娠させたことなんてないし。』

「え?は…!?」


結婚してないって…

…じゃぁ、あの綺麗な奥さんは!?


だったら、

賢吾くんは新様の子どもじゃないの…!?


『結婚指輪だってほら、してないでしょ?』

「っ…、そ、んな……」


だって、そんなの…。

こんなことって、あるの…?


新様がまさか、結婚してないなんて――…、


『今日は、何で賢吾と彼女といたかと言うと――…俺の友達が、賢吾のパパでさ。』

「え…?」

『賢吾と遊んでたら、賢吾の様子がおかしくなり始めて、…そんとき、賢吾のパパは仕事が入っちゃってさ。俺だけ帰るなんてこと、できないじゃん?だから――…付き添いに行ったんだ。』

「……っ」


なんという勘違い。

私は本当にバカだ。


新様のお姉様を、新様の彼女だと勘違いして。

今度は新様の友達の奥さんのことを、新様の奥さんだと勘違いして。


どれだけ私は勘違いして、新様を困らせればいいんだろうか。






< 126 / 192 >

この作品をシェア

pagetop