誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―


『はいっ、手を合わせてー。』

「はっ、はいっ」

『いただきます!』

「ぃ、いただきますっ…!」


ダイニングで本格的な朝食が並べられており、2人でいただきますをした。

王子様ってお行儀も良い…。


また一つ王子様のことが知れて心が癒される。


『おねーさん…食べないの?』

「へっ…?た、食べますよっ…?」


不思議そうにこちらを見た王子様に申し訳なくなって、目の前にあったサバの塩焼きを一口食べる。


「ぁ…。」

『どう?』

「ぉ、いしいです…美味しいですっとても!」

『良かったー。』


あまりの美味しさに感動する私。

これ、王子様が作ったんだよね?


「料理……お上手なんですね。」

『ん?そうかな?まぁ、何年も一人暮らしだしね。』

「…そ、そうなんですか、」


“彼女とかいないんですか”とか、聞いちゃだめだよね…。

昨日会ったばっかりだし…、

ん?昨日?


「ぁ、ああーーーっ!」

『!?ど、どうしたの!?おねーさん!』


静かな食卓中に、私は大事なことを思い出して声を上げた。




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