誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
エレベーターを降りて、俺の家の前。
ガチャッ
「入って。」
俺が中に入るように促すと、愛実は観念したかのように従ってくれた。
愛実に続いて俺も中に入り、鍵を閉め、真っ暗な部屋に明かりをつけてやると――…、
『え・・・?』
愛実の、小さな声が室内に響いた。
…当たったかぁ…。
「はぁ…勘違いし過ぎ、あゆみんは。」
『え・・・?』
俺の予想は見事的中。
『ぇ…っと、こ、れは…?』
愛実は今の現状が、全く分かっていないらしい。
混乱しているようだ。
「…こっち。」
『あ…っ』
そんな愛実を引っ張り、リビングにあるソファに座らせた。