誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―



「勘違いだから。」

『え…?』

「あゆみんは、俺といた彼女がどういう関係だと思ってるの?」

『…え、そんなの…、夫婦、なんですよね?』


はぁ…。

まぁ、敢えて聞くことでもなかったんだけど、確認ね。


「…やっぱり。」

『え…?』

「病院行ってあゆみんが来た時、ヤバいなって思ったんだよね…。」

『あの…?』


訳が分かっていない愛実を余所に、俺は溜め息をつく。

まぁ、すぐに愛実が勘違いしてることは気付かなかったけどさ。

でも、こんな嘘なら、ついてもいいよね?


「――俺、結婚なんてしてないよ?」

『は…?』

「女の子に妊娠させたことなんてないし。」

『え?は…!?』


これで愛実も自分が勘違いしてることは分かってくれるだろうと思っていたのに…、

未だ愛実は頭を整理できないでいるらしい。






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